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月: 2022年4月

フィッシャーマンスモック-着物リメイク

着物リメイクの試作品を作ってみました。

フィッシャーマンスモックとは?
そのまんまです。
外国の漁師さんのスモックです。

ヤフオクだったかのおすすめ商品に出てきてカッコ良かったので調べたら、どうやら元々は布に頭が入る穴を開けて作ったもののよう。
漁師さんが帽子をかぶったままでもすぽっと着れるように、大きめに開いてます。

これはもしかして着物で簡単にリメイクできるのでは?
作り方も型紙もどこにもない、しかも実物を見たこともない。
テキトーに作ってみました。

今回の試作品は、半端な長さのウールの反物を使用。
上部は、袖2枚分を横向きに使用。
下は同じ長さで適当に2枚切って縫いあわせました。
ほとんど手縫いで、空いた時間にちょっとずつ縫いました。
(おかげで運針がちょっと上達したような気が)

頭を大きくしすぎた。
なんか着心地が悪い。
袖がひらひらして邪魔。

という反省点を踏まえて、次回試作品は身頃の肩開きを利用して縦に縫い合わせた袖なし版にしようと思います。
生地も、スモックなので気軽に洗える木綿がいいですね。
手ぬぐいでもいいかもしれない。

次回作に乞うご期待!

83年の時を経て

今回は、90歳の母からの依頼です。

大好きな叔母さんが、7歳の七五三用に買ってくれた帯揚げ。
昭和6年生まれなので昭和12年くらいでしょうか。
日中戦争のさなかですね。
母は東京在住だったので、その後東京大空襲も経験しています。
幾多の戦火をくぐり抜け、大切に大切にしてきた帯揚げ。

そんな大事なものを、こともあろうに水洗いして台無しにしていまいました。
白地に赤い絞り入りだったのですが、水で赤が滲んでしまったのです。
しかもごわごわ。

「襟巻きにでもしようと思って洗ってみたのよ。染められるかしら?」

染めました。(染屋さんが)
紫が好きな母の為に茄子紺を選びました。

左の色が染上りに近いです。
私の写真では伝わらないかもしれませんが、綺麗な茄子紺なんです。
ほんまにええ色なんです。
どうしたら濃い紫を綺麗にお伝えできるようになるのか。
右は質感がわかるように明るく撮影しました。

縮んで絞りもなくなってしまったのですが、丁寧にアイロンとスチームで幅を揃えてかろうじて絞も復活。
83年物とは思えないふんわりと柔らかな風合いに仕上がりました。

早速母に納品すると、美しく蘇った思い出の品を、壊れ物でも扱うかのように大切に両手に抱え、感極まった様子で何度も何度もその手触りをたしかめていました。
襟巻きに使おうとしていたはずですが、水洗いでダメにして捨てるしかないかと一度は諦めたものが、想像をはるかに超えた出来栄えで戻ってきた。
「もったいなくて使えないわ。大事にしまっておくわ」
と申しております。

しかし、ここで痛恨のミスを告白します。
染める前の写真を撮ってませんでした。
83年の思い出の詰まった染替え前が消滅。
90歳という節目なので、ここはひとつ苦労だらけの過去は消し去って、新しい人生を歩めという事でしょう。
生まれ変わった帯揚げと共に、いつまでも長生きしてもらわないと。